柴犬にキャリーのMサイズが入らない — 体重何kgまでかより先に測る場所がある

「中型犬用・Mサイズ・体重10kgまで」と書いてあった。ふくは9kg。だから大丈夫——そう考えてキャリーを選ぶと、入らないことがあります。

届いたキャリーにふくを入れたら、体は入った。ただ、伏せると鼻先が前の壁にぴったり当たって、首を斜めに曲げた姿勢のまま固まってしまう。そんな場面を例に、何を見ればよかったのかを整理します。この記事は、一般的な考え方とメーカー表記の読み方にもとづく物語形式の解説です。

体重表記は「持ち手が壊れない上限」でしかない

キャリーの体重表記は耐荷重、つまり持ち手や底が壊れずに支えられる重さの上限を指すことが多いです。

中に犬が快適に収まるかどうかとは別の話で、そこは底面のサイズで決まります。「10kgまで」は「10kgの犬が入る」という意味ではありません。

そして柴犬がひっかかるのはここです。柴犬は同じ体重の他犬種に比べて伏せたときに縦に長い傾向があります。トイプードルやチワワのように丸まってくれないので、体重で選ぶと奥行きが足りなくなりがちです。

測るのは「伏せたときの体長」

キャリー選びで測るべきなのは、伏せて前足を投げ出した状態の、鼻先からお尻までの長さです。

物語の設定では、2頭の体格はこうなります。

体重 伏せたときの体長 座ったときの高さ
ふく(赤柴・メス・6歳) 9kg 約55cm 約45cm
あん(黒柴・オス・2歳) 8kg 約52cm 約43cm

たとえば底面の奥行が48cmのキャリーなら、ふくの55cmに対して7cm足りません。数字を先に見ていれば、買わずに済みます。

選ぶときの目安はこれです。

  • 底面の奥行 ≧ 伏せたときの体長(余裕を見るなら +3cm)
  • 高さ ≧ 座ったときの高さ(座れないと通院中ずっと伏せることになる)
  • 耐荷重 > 体重(ぎりぎりだと持ち手が不安)

3つ目の耐荷重は、数字が足りていても実際に持つと不安になることがあります。9kgに対して耐荷重10kgのものは、数値上は問題なくても、肩にかけると縫い目が引っ張られる可能性があります。斜めがけにして、体に密着させて運ぶのが安全です。

奥行が広めのソフトタイプという選択

奥行が広めのソフトタイプは、候補のひとつです。

伏せても鼻先が当たらず、座っても頭が天井につかないサイズなら、通院用として問題なく使えます。

ただ、不満が出やすい点もあります。9kgを持ち歩くのはやはり重いことです。駐車場から動物病院の入口まででも、片手では持てないかもしれません。キャリーで長距離を移動する使い方はせず、あくまで「車から病院まで」の数分間用と割り切る、という考え方もあります。

電車で移動する必要がある家庭だと、柴犬サイズはキャリーよりカート型のほうが現実的です。9kgを肩にかけて何十分も歩くのは大変だからです。

布のソフトタイプかプラスチックの箱型か

通院用に選ぶとき、この2つで迷う方が多いです。

  • ソフトタイプ: 軽い、上が開くので出し入れが楽、使わないとき畳める。ただし形が崩れるので中が狭く感じることがある
  • プラスチックの箱型: 形が保たれる、災害時にそのまま使える、洗いやすい。ただし重くて畳めない

診察台に乗せるとき出しやすいという理由でソフトタイプを選ぶ家庭もあります。災害時の持ち出しまで考えるなら、箱型のほうが向いています。役割を分けて、キャリーは通院に特化させ、災害時はクレートに任せる、という使い分けもあります。

サイズが合っていても嫌がる場合は別の問題

サイズを直したのに入りたがらない、という状態もよくあります。あんが最初、キャリーの前で足を踏ん張って動かない、という場面を想像してください。

これはサイズではなく、キャリーが「病院に連れて行かれる箱」として記憶されているからだ、と考えられます。通院のときにしか出さないと、そうなりがちです。

普段からリビングに置きっぱなしにして、扉を開けたまま中でおやつを食べさせる、といった慣らし方があります。慣らし方の手順そのものは、別記事にまとめています。

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まとめ

  • キャリーの体重表記は耐荷重であって、中に収まるかどうかとは別
  • 柴犬は同じ体重の他犬種より伏せたときに縦に長いので、体重で選ぶと奥行きが足りない
  • 測るのは伏せて前足を投げ出したときの鼻先〜お尻
  • 目安は「底面の奥行 ≧ 伏せ体長(+3cmあると安心)」「高さ ≧ 座高」
  • 9kgの柴犬(伏せ体長55cm程度)に奥行48cmのMサイズは足りない可能性がある
  • 9kgを持ち歩くのは想像より重い。長距離ならカート型を検討したほうがいい
  • サイズを直しても入らない場合は、キャリーが病院と結びついている可能性がある

通院時に呼吸が荒くなる、よだれが大量に出るといった様子がある場合は、キャリーのサイズではなく体調や強い不安が背景にあることもあります。私は獣医ではないので、気になるときはかかりつけの獣医師に相談してください。

この記事を書いている人

久保里奈(くぼ りな・39歳)
神奈川県逗子市在住のフリーランスデザイナー。 柴犬「ふく(メス・6歳)」「あん(オス・2歳)」と暮らしています。 柴犬専門で6年、咬みつき癖や手作りごはんの試行錯誤の記録を綴っています。

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